テーマ53 部下にはまず期待をすること、そして育成すること
■上司の期待が部下を成長させる
アメリカの教育心理学者、ローゼンタール氏の理論に
ピグマリオン効果というものがあります。
ローゼンタール氏の実験によると、
教師が期待をかけた生徒とそうでない生徒では
期待をかけた生徒の方が、成績の伸びはよく、
期待をかけなかった生徒との成績の伸びに
明らかな違いが見られたということです。
このことから、他者への期待値がその後の成長を
決定づける大きな要因のひとつになると考えられています。
会社内における管理職者の方も部下の方に対し、
まず、将来の夢とその実現のための道筋を示し、
期待を明確に示すことが必要です。
具体的には、部下の3年後のあるべき姿と
その実現のための道筋をイメージし、
部下と共有することが必要です。
管理職者の方からの一方的な押し付けではなく、
3年後に部下は、どのような能力を身につけ、
どのような仕事ができなければならないのか、
どのような役割を担っていなければならないのかを、
イメージしたものを部下に話し、部下の希望や意向を確認し、
お互いに納得した上で、3年後のあるべき姿、
目標とその実現のための行動計画を設定することが重要です。
部下の方は、会社や上司の方の自分に対する期待と
3年後の自分の姿、目標が明確にイメージでき、
それが自分にとって、希望に満ちた、
納得できるものであると日々の仕事の大きな動機づけとなります。
■部下には行うことができる具体的な目標や行動計画を示す
「NBAのプレイヤーになりなさい」といっても
だれもがその目標を達成することはできません。
「毎日シュートの練習を1,000回しなさい」、
「毎日腕立て伏せを1,000回行いなさい」と
行うべきことを具体的に示すとその目標は達成することができます。
部下の方には、漠然とした目標や指示ではなく、
具体的な目標や行動計画を示すことが重要です。
「NBAのプレイヤーになりなさい」と言われても
自分の意志だけではどうすることもできなく
モチベーションもいまいち湧かない面もありますが、
「毎日シュートの練習を1,000回しなさい」、
「毎日腕立て伏せを1,000回行いなさい」という指示であれば、
その先にある希望に向けて、確実に目標を達成することができます。
■管理職は部下の仕事の進捗管理を徹底する
飛行機の機長は、目的地と到着時間を決めて離陸し、
指定された時間に目的地に確実に着陸するために、
飛行中は乗組員を指導しながら天候などの状況変化に的確に対応します。
職場の上司の方も、部下の仕事の目標と期限を決め、
期限どおりに仕事が終了するように、
部下の仕事の遂行状況の把握や部下のモチベーションの維持・向上、
部下の職務能力向上のための指導などをしっかり行うなど、
部下の仕事の進捗管理を徹底することが必要です。
部下は、管理職者の的確な進捗管理のもと、
よりよい結果をもとめ悪戦苦闘するプロセスのなかで、
成長していきます。
部下に仕事を与え、部下の仕事の進捗管理を全く行わず、
部下が仕事ができ上司に提出したときに、
仕事のチェックを行い、ダメなところを指摘するだけの上司では、
部下は、仕事を行うと文句を言われるだけということになり、
モチベーションは下がるばかりで、成長もしません。
また、進捗管理を的確に行わないと、
期限までに仕事が終わらないことになり、
飛行機でいうと、墜落してしまうことになります。
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